03.カンデイアとの思い出
カンデイアが作曲した「Filosofia do Samba(サンバの哲学)」という有名な曲があります。
この曲が誕生した瞬間を目の前で見ていた私にとっては大変特別なものであり、他の作品とは違った思い出があります。
曲名に「filosofia=哲学」という言葉が使われていますが、この曲は多くのすばらしいサンビスタ達のことを語ったものです。
この曲ができ上がったとき、私を含む「Imperiais do Ritmo」のメンバーとClara Nunes (クララ・ヌネス 1942/08/12-1983/04/02が同席していました。
クララ・ヌネスの歌声を誰よりも愛していたカンデイアは、友情の証として、この曲を Niteroi(ニテロイ)のCaio Martins スタジアムで行われる音楽祭(1970年)のステージで、クララ・ヌネスに歌ってもらいたいと考えていたようでした。
つまりカンデイアからクララ・ヌネスへのプレゼントというわけです。
そして、そのステージのバックを務めるバンドとして、当時、私もメンバーのひとりとして活動していた「Imperiais do Ritmo」が選ばれたのです。
毎日のように通ったカンデイアの自宅では、カンデイア夫人であるDona Leonildaのフェイジョアーダにバチーダ・ヂ・マラクジャ、バチーダ・ヂ・リマァオなどがふるまわれていました。
それはじつに美味しいものでした。いまでもあの味をハッキリと覚えています。